蹴りたい背中 綿矢りさ
こんにちは、修です。
ずっと前にブックオフで買った綿矢りささんの「蹴りたい背中」を今日、読了したので感想書いていきます。
まず、この小説はいわゆる「青春もの」なんじゃないかなぁと。
なんでそう思うか、簡単です。主人公は友達がいません。多分みんな、こういう経験あるんじゃないんでしょうか笑
高校入学したてで友達ができないもどかしさ、そして気恥ずかしさ。こういう時って人はまず友達作ろうとするんですよね。高校の友達が一生もんになったりしますもん。
でも主人公は友達を作りたがらない。そこが違うんですよ。人間関係からの解放を望んでいる。
かくいう私も友達いません。最近は開き直って一人行動がデフォです。入学当初全く友達が出来なかったんですけど、人間関係について悩まなくて済むようになったんでそれはそれで気が楽でした。中学の頃何だかんだ友達がいたのも原因だったのかも知れません。
話を戻しますと、主人公は「友達を必要としていない」または「人間関係が面倒になった」んじゃないかなぁ。
の、割には中学以来の友達に固執(?)したりにな川に関わったりするんですよ。人間らしいというか、人として自然な姿と言えばいいんじゃないんでしょうか。
解説にチョロっと書いてあったんですけど、この小説は聴覚とかに訴える文が多いんですね。
確かに最初孤独を音に例える文学感を見せつけて起きながら音をお菓子の音に例えたりするんですよ。上手いなぁ。
そして私がこの小説で好きな所は主人公の「アイタタタ感」です。主人公が人間関係を気付くのがいかに苦手で不器用かが容易に読み取れるんですよ。というか根性曲がり過ぎだろ。
何となく自分と似てるなーと思いながら読んでて特に自分と重ねてしまったシーン。
友達に人間関係で説教されるシーン。
隣に人が座ってきたらと立ち上がりたくなる気持ち。(その後実際立ち上がった時の周りのリアクションを考える所までセットで)
なんか主人公には共感出来る部分が多いんですよね。そこがこの本の魅力かなって勝手に思ってます。
最後の主人公と友達がにな川の冷蔵庫を開けて中身を物色するシーン。個人的に一言も聞かないなんて非常識だな~と思いつつ、作者の食べ物に対する認識がなんとなく分かりますね。
多分悪気なく冷蔵庫のプリンとか食べちゃって怒られるタイプじゃないかなと邪心します。てか登場人物みんな食べ物に頓着なさそう、出来るだけ安く済ませたり一人だとご飯食べないタイプなのでは……?
とりあえず作品自体はサクッと読めました。全体を通りしてやるせない青春って感じです。
この小説の「飲める文庫」をあえて考えるなら、主人公の無気力感と登場人物の突発的な行動を炭酸で表した青春の飲み物マッチでどうでしょうか。
冒頭の理科の実験で使われてそうな色とやる気のなさと微炭酸、って事で。うーん、もう少しやるせなさが欲しいなぁ。
- 作者: 綿矢りさ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/04/05
- メディア: 文庫
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